理事長挨拶

国立医薬品食品衛生研究所 齋藤嘉朗

2022年10月から日本免疫毒性学会の第6代理事長を拝命いたしました齋藤嘉朗と申します。中村和市 前理事長(北里大学特任教授)の後任として、3年間を任期として務めさせていただくことになりました。身の引き締まる思いでございますが、副理事長に選任されました北海道医療大学の小島弘幸先生と共に尽力して参りますので、関係各位のご指導及びご支援をどうぞ宜しくお願い申し上げます。

本学会は、免疫機能を標的とした毒性学にかかわる研究者団体として活動しています。前身の免疫毒性研究会発足(1994年)から数えて28年が経ち、年会としては2023年に第30回を開催することとなります。いうまでもなく免疫系は多くの細胞や分子が関与する極めて複雑かつ精緻なシステムであり、またその毒性影響も機能の低下と亢進という両面がございます。さらに免疫系に影響を及ぼす物質としても、医薬品、食品、環境化学物質など多様です。本学会員の所属背景はアカデミア、企業及び行政と多彩であり、個々の専門も毒性影響の評価、毒性機序の解析、新しい評価法の開発、さらにはこれらの解析に基づく新たな免疫制御機構の解析等、幅広くなっています。年会では、これら多様な背景を有する会員が一堂に会して成果を発表し、質問時間を多く取って様々な視点から議論を行うことで、いずれのご参加者にも新しい発見があることが伝統となっております。ご興味のある先生方は、是非一度、年会にご参加ください。

米国トキシコロジー学会免疫毒性部会との交流も引き続き進められており、米国毒性学会と日本免疫毒性学会にて、毎年合同シンポジウムの企画・提案や研究者の派遣と招聘の交流を行っております。さらに、日本毒性学会とも連携を続けており、同学会の学術年会では隔年で合同シンポジウムを開催しております。

例えば小職が専門とする医薬品関連の分野では、核酸医薬品、遺伝子治療用製品、細胞加工製品等、新たなモダリティーに対する免疫毒性評価法の開発が重要となっております。またICH S8(医薬品の免疫毒性試験に関するガイドライン)も最終化から17年が経ち、最新の知見に照らして、その改訂の要否に関する議論を学会内で開始する時期にあると考えております。今後3年間も、当学会が伝統とする種々の研究分野の相互作用に基づく免疫毒性研究のさらなる活性化を図り、これら社会的に要請のある課題についても積極的に関与・提案して参りたいと考えております。再度のお願いとなりますが、何卒、ご指導、ご支援を賜りたく、どうぞ宜しくお願い申し上げます。

令和4年10月

過去の理事長挨拶